2018 年現在、サラリーマンの平均年収は417万円と言われています。
それでは江戸時代の武士たちはいくらもらっていた、気になりますよね?
武士と言っても、当時の人口の数%しかいないので、年収1000万円は超えているのかも!?
と想像してしまいます。
この記事では武士の家禄の基準であった「石高」から、現在の年収に換算してみます。
武士の収入は?
江戸時代の武士の収入には、家禄と役職手当てがありました。
「何石取りの武士」というときの「何石」が家禄で、武士の収入は一般的にはこの家禄のことをいいました。
家禄は、もともと戦場での武功忠勤の報酬として与えられたもので、代々世襲制で石高が決まっていました。
生まれた時から自分の収入は決まっていたようですね。
しかし、何か失敗があったときは 、 減俸させられることもありました。
ただし、何千石取りの武士といっても、その全部が収入になったわけではありません。
「何千石」 というのは、それだけの米が「収穫できうる領地」ということで、天候不良があれば、収穫量はもちろん減りました。
さらに、収穫した米を全部武士が取ってしまっては、農民は生きていけませんよね。
そこで、四公六民(4割武士、6割農民)とか五公五民(5割武士、5割農民)というように分けました。
農民からすればせっかく作ったお米を半分近くもっていかれるわけで、面白くありませんね(笑)。
ですので、武士の実収は、石高から順に計算していけばわかります。
武士の収入を現在の年収に換算すると?
江戸時代の有名武士の年収を現在の金銭に換算してみました。
基準として、お米1俵(60kg)=1万5千円とします。
ただしこれは、農家が直接消費者、もしくは農協(笑)に販売した金額として計算します。
流通業者を通すと正確な値段はわかりませんので。
1万石取りの武士は?
まず1万石を四公六民で分けると、武士の取り分は6000石です。
1石=2.5俵なので、6000石=15,000俵ですね。
15,000(俵)×15,000(円)= 2億2千万円!
ざっくりとした計算ですが、1万石の武士は年収2億2千万円としておきましょう。
もちろん1俵あたりの値段や、○公○民で変わりますので、あくまでひとつの目安としてください。
では、歴史上の有名人の収入を見てみましょう。
遠山の金さん
「遠山の金さん」として知られる町奉行の遠山左衛門尉景元(さえもんのじょうかげもと)の年収は、
約6750万円でした!
金さんは江戸町奉行という役職についており、それで役高3000石はもらっていました。
四公六民で分けると、金さんの取り分は1800石です。
1800×2.5×15,000=6750万円です。
「忠臣蔵」大石内蔵助
また、『忠臣蔵』で有名な赤穂藩家老大石内蔵助は、約3300万円でした。
大石内蔵助の家禄は1500石だったので、約3300万円です。
どうやって収入を増やすのか?
さて、武士たちは家禄によって自分の収入が決まっていました。
現代のサラリーマンみたいに頑張れば収入が上がる!というわけにはいきません。
江戸時代は、身分や家柄、格式が固定されて、その特権が代々受け継がれるようになっていました。
その結果、家老の子なら少々出来が悪くても家老になりました。
反対に、足軽の子は優れていても出世できない世の中になってしまいました。
これでは頑張る気も起きず、能力も発揮できません。
そんな風通しの悪い世の中に、風穴を開けたのが、”暴れん坊将軍“こと八代将軍吉宗でした。
彼は身分が低くても、能力のある人材をどんどん登用しました。
そしてその能力に見合う報酬を支払うように改めたのが、彼が進めた享保の改革の柱の一つ「足高の制」でした。
当時武士には、代々受け継がれた給料(石 高)が支払われていました。
武士は、その給料で家族や家来とその家族たちを養い、かつ自分の役目を果たすための費用も、そこから捻出しな ければなりませんでした。
そのため、300石の旗本は、どんなに能力があっても、3,000石相当の仕事をすることは経済的に不可能でした。
そうかといって、むやみに給料を増やすと、その額が子孫まで受け継がれ、幕府の負担になってしまいます。
そこで、人材登用の手段として、その役職についている間だけ、それに見合う給料を「能力給」として支給したのです。
現在なら「能力給」や「歩合制」「出来高制」 は当たり前の給与体系だが、職業世襲制の当時としては画期的アイデアでした。
吉宗といえば、そのまま「暴れん坊将軍」のイメージですが、とても有能な将軍だったということですね。
最後に
いかがでしたか?
武士たちの収入が少しでもイメージできれば幸いです。
しかし、当時のお金を現代に換算するのはとても難しいものです。
今回はたまたまお米で計算しましたが、金や銀で計算する方法もあるので、
あくまでもひとつの「参考」としてくださいね。