よく時代劇では盗賊が千両箱を抱えて逃げるシーンがありますよね。
千両箱と呼ばれる、小判が1000両分詰まった箱を盗むために大名屋敷に忍び込みます。
その千両箱を肩にひょいと乗せて、屋根から屋根へ伝って逃げていきます。
ところがこの千両箱はなかなか重く、肩に担いで逃げるというのはほぼ不可能だったといえます。
千両箱の重さとは?
箱の重さ
まず、箱自体の重さはどうだったのでしょうか。
箱の材料には松やヒノキが使われていました。
また運搬や貯蔵のため、角や重要なところは鉄板で補強されていたので見た目以上に重かったといいます。
大きさには多くの種類がありますが、比較的多いのが縦40cm、横14.5cm,深さ12.3cmのものです。
重さは3~6kgと諸説ありますが、ここでは約4kgとします。
小判の重さ
千両箱に入っている小判は、時代によって重さや価値が違ってきます。
例えば徳川家康が慶長6年(1601)に造らせた「慶長小判」は金が86パーセント含まれていました。
それだと1枚が17.73グラムです。
それが1,000枚となると、約18kgになります。
そこに箱の重さを加えると、合計22kg以上になります。
20kgというのは、海外旅行に行くときのスーツケースの重さくらいです。
とても、肩にかついで身軽に跳びはねられる重さではありませんね。
一方、安政6年(1859) に発行された「安政小判」は、一両9gでした。
1,000枚だと約9kgになり、木箱をいれても合計12㎏程度なのでまだ走れるかもしれませんね。
しかしこの安政小判は江戸幕府末期に発行されたものなので、あまり参考にはできません。
ただし千両箱といっても、なかには2000両入り、5000両入りの大箱もありました。
そういう大金入りの千両箱は箱自体も重くなります。
たとえ鍛え抜いた盗賊でも抱えたまま屋根の上を走り去り、地面に飛び下りるなんてことはとても不可能だったでしょうね。
では真相はというと、盗賊は集団で押し込み、 家人らを殺傷したり縛りつけてから、荷車などに千両箱を積み込み、悠々と地面を伝って逃走したのです。
今でいう強盗殺人ですね。見つかればもちろん死罪になったでしょう。
千両箱はそこまでした盗むほどの価値があったのでしょうか?
千両箱、今の値打ちではいくら?
慶長小判だと1両13~15万円と言われています。
つまり千両箱1箱で1億3~5千万円ですね。
千両箱を一つ盗むと1億円!すごい世界ですね。
1億円を家に置いておくのはとてもハイリスクですね。
アルソックやセコムもない時代。銀行に預けておけば?と思うのは私だけでしょうか。
千両役者とは?
歌舞伎ではスーパースターのことを千両役者といいますが、どういった意味なのでしょうか?
江戸時代には様々な娯楽があり、歌舞伎もありました。
しかし、良い席は大変高く、銀25~35匁(5万4,000円~7万5,000円)もしていたと言います。
現代の歌舞伎でも一番いい席は20,000円なので、江戸時代は大変高価だったのですね。
安価な席は「切り落とし」と言われる狭い土間のやすい席で、それでも1人(4,290円)です。
人気役者が出てくる芝居はとても賑わったようで、いわゆる「千両役者」と呼ばれるスター俳優がいました。今でいう海老蔵さんのことをいうのでしょう。
千両役者とは文字通り、年俸1,000両(1億3,000万〜5,000万円 )を得ていた役者さんのことです。
年俸が1億円を超えるスポーツ選手のことを「1億円プレーヤー」と言いますが、それと同じ高収入の人が江戸時代にもいたのです。
最後に
いかがでしたか?
時代劇に必ずといっていいほど出てくる「千両箱」。
今度見かけると1億円。。と思って眺めてみると面白いかもしれません。